初の弾き語りツアー日本編完走!ライブレポです!
初の台日弾き語りツアー「門出燦々」が、6月10日の東京公演を以て日本ツアーファイナルを迎えた。
本ツアーは、彼女にとって初の弾き語り形式でのツアーとなり、6月5日の福岡公演を皮切りに日本では5都市で、さらに続いて台湾でも3都市での公演を控えている。チケットも全公演完売しており、台湾と日本からの期待が寄せられたツアーとなった。
日本ツアーのファイナルとなった東京公演は、下北沢440で開催された。月曜の夜の下北沢、若者からスーツに身を包んだ仕事帰りのサラリーマンまで、年齢も問わず多くの人々が集うアットホームな会場のステージに彼女は登場した。やや緊張した面持ちながらも、「一年ぶりの想いを届けに来た」と口にした彼女は、2017年の1stミニアルバム『タイムトラベル』収録の「Dreamaholic」からライブをスタート。
しっとりと弾き語りながらも、ポエティックに言葉を詰め込んだ小気味よい歌い方で、会場に漂う夢のようなまどろみと聴衆を溶け込ませていく。立て続けに「三色菫」、「生まれ変わったら」と、彼女の張りのある力強い歌声とそれに呼応させるようなギターのストロークで観客をその世界観の虜にしていった。
MCでは、制作中の最新EPのタイトルについて、日常で繰り返されるもの=自分の生き方を表しており、それを伝えたいという想いから『仕事』と名付けたことが発表された。このように着実に次なる表現方法を準備している彼女は、ここから今の彼女の力強さが存分に溢れた最新曲「神様」、2ndアルバム『Amoeba』からの「MOTHER」を披露。さらに続けて、「自分も彼らのように人に力を与えられるアーティストになりたい」と自身も大好きだというくるりの楽曲から、開催地の東京にちなんで「東京」をカバーするという嬉しいサプライズも。セットリストの流れとしてももちろん、この曲を歌う姿が彼女にとても馴染んでいたことに驚かされた。
合間には、自分の生まれた地のことをファンにも知ってもらおう「台湾華語教室コーナー」や、「新生活悩み相談コーナー」も行われた。
冗談なども交えつつ会場との距離感をより密接で暖かなものにしていく姿には、Mikan Hayashiの朗らかな人柄が表れており、音楽以外でもファンとのコミュニケーションを大事にしている彼女は、続けて自身の大好物を歌った「餃子のうた」、the band apartの荒井岳史と共作した「副都心」と振れ幅のある曲を続けて披露して、観客を楽しませてくれた。
最後には、Mikanの口から東阪の日本公演を含む台日バンド編成ツアー「僕たちの働き方」の開催がアナウンスされた。こちらは先述の最新EPタイトルにちなみ、彼女らバンドの生き方を示すライブになることを感じさせるツアータイトルとなっており、会場からも熱い拍手で迎えられた。続けて、新たなメンバーを迎えて新体制となったバンド、新たな始まりを迎えた自分自身を取り巻く想いを今回のツアーで伝えてきたと語る。「私自身にとっても、観客にとっても、新たに輝いている未来を迎えてほしい」とツアータイトル「門出燦々」に込めた想いを伝えて、シングル『Nice to 密 you』から「空気」を披露。弾き語りツアーの日本公演は幕を下ろした。
バンドとしての活動の傍ら、ソロプロジェクト「取暖実験室」でも、台湾のバンド・我是機車少女I’m difficultの凌元耕(Vo./Key.)はじめ多くのミュージシャンとの共作を通じて、常に変化・進化し続けてきた現在のMikan Hayashi。9月から行われる台日ツアーは、今回の弾き語りツアーの経験を経た上に、新メンバー・アース(Ba)を迎えての初ツアーとなる。きっとさらに進化した姿を見せてくれるツアーとなるに違いない。チケットは最速先行予約受付中。楽曲と併せて、ぜひ9月の日本公演でのゲシュタルト乙女の姿に期待してほしい。(文・エビナコウヘイ)